この本を読むと、「世界は言葉で出来ている!」と叫びたくなります。
筒井さんご自身による「自著を語る」(リンクあり)を読んだのをきっかけに、『残像に口紅を』について書くことにしました。
1989年発行の本ですが、カズレーザーさんや、けんごさんの紹介で、何度も大増刷されました。
まずは、どんどん言葉が消えていく世界で、どうやって物語を書き続けられるのだろうという興味からでいいので、手に取ってみて欲しいです。
袋とじ復活
「中央公論」で2部まで連載され、3部は単行本書下ろしで出版されました。
第2部は、主人公が美しい人妻と寝室に入るところで終わっています。
そして、その3部が”袋とじ”になっていて、このように書かれています。
ここまでお読みになって読む気を失われたかたは、この封を切らずに、中央公論社までお手持ちください。この書籍の代金をお返しいたします。
1989年発行「残像に口紅を」
(書店でのご返金の扱いはいたしません)
「幸い”返金しろ”と言ってきた人はいなかったそうだ」と筒井さんがイベントでおっしゃっていた記憶があります。
文庫本からは、袋とじではなくなりましたが、2022年7月、袋とじまで再現した「残像に口紅を 復刻版」が発売されました。
書籍情報
タイトル | 残像に口紅を | |
中央公論社 | 1989年 | 袋とじ |
中公文庫 | 1995年 | 音分布 |
電子書籍 | 2018年 | |
復刻版 | 2022年 | 袋とじ |
筒井康隆自著を語る 「残像に口紅を」を書いた経緯
『残像に口紅を』【筒井康隆<自著を語る 私が書いた中公文庫>】
”ワープロに画鋲”の真実についても語られています。
「アメトーク」本屋芸人でカズレーザーさん
2017年の「アメトーク」本屋芸人の回で、カズレーザーさんが紹介。あっという間に在庫がなくなり、大増刷となりました。
けんごさんのTikTok
2021年7月にTikTokに投稿されて、これまた大増刷された、けんごさんのTikTok。
そのときのが見つけられなくて、2022年に再投稿されたものです。
30秒で魅力を伝え、ネタバレせずに興味をそそられますね。上手だな~。
今子青佳書道展 ー筒井康隆『残像に口紅を』
2022年、書家の今子青佳さんが、『残像に口紅を』全文を書にするというとてつもない作品を発表されました。
ルール違反? 筒井康隆『残像に口紅を』の音分布
実は『残像に口紅を』内ではほんの少数ですが、消したはずの音を使ってしまう”ルール違反”がありました。
中公文庫版には巻末に「筒井康隆『残像に口紅を』の音分布」という調査結果が載っていて、その中で指摘されています。この調査、もとは卒論だったそうです。
さいごに オマージュ作品
以上、「残像に口紅を」についてまとめてみました。
この作品は影響も大きく、「幽遊白書」には、「残像に口紅を」を思わせるようなバトルがあるそうです。
残像ネタはまだまだありそうなので、随時、追加していきます。