ある日、山下洋輔さんに向かって、お母さんが「鹿児島に行くなら刑務所を見てらっしゃい」と言うところから物語が始まります。
薩摩武士のひいおじいさん、建築家のおじいさん、山下清、西郷隆盛、大久保利通、川路利良、大学の先生、バンドマンが入り乱れて、明治維新、西南戦争、刑務所取り壊しなど大騒ぎになります。
幕末、建築、山下洋輔、どれかに興味があれば絶対におもしろい!いやそんなのに関係なくおもしろい!ぜひ読んでみてください。
書籍、電子書籍情報
タイトル | ドバラダ門 | |
新潮社 | 1990年 | |
新潮文庫 | 1993年 | 解説=筒井康隆 |
朝日文庫 | 2017年 | 解説=筒井康隆(新潮文庫版と新解説の両方収録) あとがき=山下洋輔 |
ドバラダの由来「三十一億五千三百六十万秒の霹靂」
○○賞の候補になりかかったという話もあるこの作品。
1987年「小説新潮」に連載時は「三十一億五千三百六十万秒の霹靂」というタイトルでした。
1990年に本が出版されるときに「ドバラダ門」と改題されましたが、同じ1990年に発売されたアルバム『SAKURA』には「ドバラダ」という曲が収録されています。
本が先か曲が先かという問題がありますが、コンサートなどで聞いた記憶では、こんな話でした。
出版にあたって、もう少し売りやすいタイトルにしようとなった。そのときちょうど「ドバラダ」という曲をやっていて、その語感が好きだったので、鹿児島監獄の唯一残された門にかけて「ドバラダ門」にした。
ということで、私は”曲先”だと思っています。最近のご本人のMCでは、逆になっていることもあるようなのですが(笑)
ちなみに本は1990年8月発行、CDは1990年5月録音です。これだけではタイトル決定のタイミングはわかりませんね。
そもそもの「ドバラダ」という曲名は、おそらく、テーマが「ドバラダドバラダ」と聴こえるからじゃないかと思っています。
よかったら聴いて確認してみてください。
こちらの『30光年の浮遊』収録「ドバラダ2018」のほうがわかりやすいかも。
「明治五大監獄」をたてたのはおじいちゃん?
「明治五大監獄」と呼ばれる、奈良監獄、長崎監獄、金沢監獄、千葉監獄、鹿児島監獄は、すべて山下洋輔さんのおじいさん山下啓次郎さんの設計。
石造りの鹿児島監獄以外は赤レンガ造り。とても美しく、テーマパークと間違って訪れる人がいるほどだそうです。
明治維新、当時の不平等条約などと絡んでいろんな事実が判明していくのが、この本のエキサイティングな要素の一つです。
五大監獄のうち、鹿児島監獄をはじめ、ほとんどは門を残して取り壊されてしまいました。
ドバラダ門はこのように、アリーナの敷地内にポツンと立っています。
唯一、奈良監獄のみが2017年に重要文化財に指定され全体が保存されています。
今後、ホテルとして活用される予定です。
書評など
建築家で建築史家の藤森照信さんによる書評。本の解説や山下さんとトークイベントでの共演など、多数あります。
関連書籍
1993年「ドバラダへの道」内容はあまり関連がないかも(笑)
1997年「ドバラダ乱入帖」 一番似ている西郷隆盛の肖像画は?!
2014年「ドファララ門」 こんどはお母さん!